休職していた社員が職場へ戻る。一見すると、元の状態に戻るだけのように思われるかもしれません。
しかし実際には、本人も職場もさまざまな不安を抱えています。
「また体調を崩さないだろうか。」
「以前と同じ仕事を任せても大丈夫だろうか。」
「どこまで配慮すればいいのだろう。」
こうした不安を解消し、安心して職場復帰を迎えるために欠かせないのが復職面談です。
私は社会保険労務士・キャリアコンサルタントとして多くの企業の人事労務に携わってきましたが、復職支援がうまくいく職場には共通点があります。それは対話を大切にしていることです。
復職面談の目的は「復帰の可否」を確認することではない
復職面談というと、「働ける状態かどうか」を確認する場と思われがちです。もちろん、体調や医師の意見を確認することは重要です。しかし、それ以上に大切なのは安心して働き続けられる環境を一緒につくることです。復職はゴールではありません。新しいスタートです。そのためには、本人と会社が同じ方向を向いて働き方を考える時間が必要になります。
復職面談でよくある失敗
良かれと思ってかけた言葉が、本人を追い詰めてしまうことがあります。例えば
- 「もう大丈夫ですよね?」
- 「以前と同じように頑張ってください。」
- 「みんな待っていました。」
どれも励ましのつもりでしょう。しかし本人は
「期待に応えなければならない。」
「また休んではいけない。」
「無理をしてでも頑張ろう。」
と感じてしまうことがあります。
このようなプレッシャーが積み重なると、再休職につながるケースも少なくありません。
📌安心して復職するために確認したい5つのポイント
復職面談では、何を話すかがとても重要です。私がおすすめしているのは次の5つのポイントを確認することです。
① 現在の体調
睡眠や通院状況、疲れやすさなどを確認します。診断をするのではなく本人の状態を理解することが目的です。
② 不安に感じていること
仕事そのものだけではなく、
- 人間関係
- 通勤
- 業務量
- 体力
など不安は人によって異なります。まずは安心して話せる雰囲気をつくることが大切です。
③ 配慮してほしいこと
例えば、
- 残業を控えたい
- 徐々に仕事量を増やしたい
- 定期的に面談をしたい
など小さな配慮が復職後の安心感につながります。
④ 業務内容の確認
以前と同じ業務に戻すことだけが正解ではありません。段階的に業務を増やす方法も有効です。
⑤ 相談できる体制
「困ったら誰に相談できるのか。」
この安心感があるだけで心理的負担は大きく軽減されます。
管理職に求められる役割
管理職は医師ではありません。体調を判断することが仕事ではなく安心して相談できる関係をつくることが重要な役割です。例えば
- 最近疲れていませんか?
- 困っていることはありませんか?
- 仕事量は大丈夫ですか?
こうした何気ない問いかけが本人の安心感につながります。
「何かあったら相談してください。」
よりも、
「最近どうですか?」
という一言の方が対話は始まりやすいものです。
制度だけでは復職支援は成功しない
復職支援には、
- 就業規則
- 休職制度
- 主治医の意見書
- 勤務時間の調整
など制度面も欠かせません。しかし制度だけでは安心して働くことはできません。AIが情報を提供できる時代だからこそ、人にしかできない価値があります。それが相手の気持ちを理解しようとする対話です。安心できる対話がある職場では、
「少し疲れています。」
「今日は少し無理をしそうです。」
そんな小さなサインを早めに伝えることができます。それが結果として再休職の予防にもつながります。
対話が安心して働ける職場をつくる
復職とは元に戻ることではありません。本人も職場も新しい働き方を一緒に考えていくプロセスです。だからこそ復職面談では答えを急ぐのではなく
- 「今はどんなお気持ちですか?」
- 「何か心配なことはありますか?」
- 「私たちにできることはありますか?」
という対話を大切にしてほしいと思います。制度は会社を支えます。対話は人を支えます。安心して働ける職場はこうした日々の対話の積み重ねから生まれていくのです。
🎁 今月の無料テンプレート
Work Design Sheet #02
復職面談シート
このシートでは、
- 復職前に確認したい項目
- 初日の面談ポイント
- 復職後のフォロー面談
- 管理職の確認事項
を一枚に整理しています。
「何を確認すればよいかわからない」
「復職面談を標準化したい」
という企業の皆さまにぜひご活用いただければ幸いです。

