「給与や勤務時間は求人票に書いている」
「面接でもひと通り説明している」
それでも入社後に、そういう意味だったのですねと会社と本人の受け止め方に違いが見つかることがあります。
たとえば、手当の支給条件やシフトの決め方、担当する仕事の範囲など。会社では当たり前になっていることほど説明が少なくなりがちです。
採用時には、条件を伝えることに加えて同じイメージを持てているかを確かめることも大切にしたいところです。
今回は入社前に確認しておきたいポイントをご紹介します。
1.求人票から入社時の書類まで内容を確認する
まずは求人票や面接で伝えた内容と労働条件通知書などの書類に違いがないかを確認してみましょう。
- 給与の金額や手当の支給条件
- 勤務時間・休憩・休日
- 仕事内容や勤務地
- 契約期間や更新の条件
- 試用期間の有無と期間中の条件
以前の求人票を使っていたり面接と書類作成を別の担当者が行っていたりすると、気づかないうちに説明が異なっていることもあります。
選考の途中で条件が変わる場合は、労働契約を結ぶ前に変更内容を明示する必要があります。
どこがどのように変わったのかを具体的に伝え、本人の理解と合意を確認しましょう。
2.給与は内訳も一緒に伝える
給与は応募する方にとって特に気になる条件の一つです。
月給25万円という総額だけでなく、基本給や手当の内訳も一緒に伝えると入社後の認識の違いを減らしやすくなります。
- 基本給はいくらか
- どのような手当が含まれているか
- 手当にはどのような支給条件があるか
- 固定残業代が含まれているか
- 試用期間中は金額が変わるか
会社では支給条件があると認識している手当も、本人は毎月必ずもらえるものと受け止めているかもしれません。
固定残業代を設けている場合は、固定残業代を除く基本給の額、対象となる時間数と金額、対象時間を超えた分は追加で支払うことなどを明確にする必要があります。
金額に加えて、どのような条件で支払われるのかも言葉を添えて説明すると伝わりやすくなります。
3.勤務時間や休日は働く場面を思い浮かべながら
週3日勤務、シフト制と書かれていても、実際の働き方まではイメージしにくいことがあります。
入社後の一週間や一か月を思い浮かべながら次のような点も伝えてみてください。
- 勤務曜日は固定か、月ごとに変わるか
- シフトはいつどのように決まるか
- 土日祝日の勤務があるか
- 休憩時間はどのように取るか
- 残業の目安や忙しくなる時期はいつか
勤務時間は相談可能としている場合も、調整できる時間帯や曜日を具体的に伝えておくと本人も希望を話しやすくなります。
希望を伺ったうえで対応できることと難しいことを一緒に確認していけるとよいですね。
休暇や育児・介護との両立支援制度についても、2025年施行の育児・介護休業法改正などを踏まえた現在の制度に沿って案内しましょう。
4.入社後に変わる可能性があることも伝える
入社時の仕事や勤務地だけでなく、将来どのような変更があり得るかも事前に共有しておきたいことです。
2024年4月から募集時と労働契約の締結時には、雇入れ直後の仕事内容や勤務地に加えて、業務と就業場所の変更の範囲を明示することが必要になっています。
別の業務を担当する可能性があるか、ほかの事業所へ異動することがあるかなど会社として想定している範囲を整理しておきましょう。
有期労働契約の場合は、契約期間に加えて更新の有無や判断基準、更新上限の有無と内容も確認が必要です。
ひな形の記載をそのまま使う前に、今回採用する方の働き方に合っているかを読み返してみてください。
5.パート・有期雇用の書類は最新の内容に
パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる場合は、昇給・退職手当・賞与の有無と相談窓口についても明示する必要があります。
さらに2026年10月1日からは、通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨の明示が追加されています。
以前から使っている労働条件通知書や雇用契約書がある場合は、この内容が反映されているか確認してみましょう。
あわせて、手当や賞与などについて正社員との間に違いがある場合は、その内容と理由を説明できるように整理しておくことも大切です。
6.書類を渡した後に話せる時間をつくる
労働契約を結ぶ際には、賃金や労働時間などの主要な条件を書面で明示する必要があります。本人が希望し出力して書面を作成できるなどの要件を満たす場合は、電子メール等による明示も可能です。
書類をお渡しした後は内容を落ち着いて確認できる時間も設けてみてください。
何か質問はありますかと聞かれても、その場では思い浮かばないこともあるものです。
「給与の内訳でわかりにくいところはありませんか」
「勤務時間や休日について気になる点はありますか」
「面接でのお話と違うと感じる点はありませんか」
このように項目を挙げて尋ねると本人も確認したいことを話しやすくなります。
お互いに同じ理解ができているかを確かめる時間として、やり取りを大切にしていきましょう。
安心して入社を迎えるために
労働条件を明示することは会社の義務であると同時に、これから一緒に働く方との信頼関係をつくる機会でもあります。
会社がお願いしたい働き方と本人が希望する働き方。両方を確認しながら疑問や気になることを入社前に話せると安心につながります。
まずは現在使っている求人票や労働条件通知書を見ながら、初めて読む方にも伝わるだろうかと確認してみませんか。
CareHRでは求人票の見直しから労働条件の整理、入社時の受入体制づくりまで、採用と労務の両面からお手伝いしています。
今の書類でよいのか確認したい、どのように説明すればよいか迷っているといったことも、お気軽にご相談ください。
参考資料:厚生労働省

