近年、社会保険労務士事務所CareHRにおいても労災に関するご相談が増えています。
そしてこれは弊所だけの感覚ではなく、厚生労働省が公表する統計でも 労働災害の傾向が変化していることが確認できます。特に、休業4日以上の死傷者数が増加している一方で、死亡者数は減少傾向にあります。これは単に、ケガが多いというだけではなく、働き方や職場環境の変化が影響している可能性があるのです。
■労災の数字でわかるいまの状況
厚生労働省の「令和6年の労働災害発生状況」を公表によれば、2024年(令和6年)の死傷災害(休業4日以上)は 約135,718件 と前年から増加し、4年連続の増加傾向となっています。
一方、死亡者数は 746人 と過去最少水準で推移しており、昔のような現場で重大事故というイメージはやや薄れています。この数字を見て大切な視点は次の2つです。
① 死亡災害は減っている
→ 安全意識や設備対策が進んでいる可能性があります。
② 休業災害が増えている
→ ケガだけでなくさまざまな要因で労災申請につながるケースが増えている可能性があります。
■ 労災はケガだけじゃない ― 精神障害・過重労働も対象
労災保険は元々、業務上の事故に伴うケガや疾病だけでなく、業務が原因で発症した精神障害や脳・心臓疾患なども対象になります。
令和6年度の「過労死等の労災補償状況」では、脳・心臓疾患や精神障害を含む請求件数が 約4,810件 と報告されています。
特に 精神障害による労災支給決定件数は6年連続増加しており、精神的な不調が業務起因として認められるケースが増えているのが現状です。
なお、統計上では精神障害の労災認定は1983年の集計開始以来、支給決定件数が1,000件を超える年も出ています。これは、単なる数字の増加ではなく、職場の心の健康への関心が高まった結果とも言えます。
■ なぜ見えにくい労災が増えているのか?
では、なぜこのような見えにくい労災が増えているのでしょうか?
代表的な背景は以下の通りです:
① 働き方の多様化
テレワーク・時差出勤・ハイブリッド勤務などが一般化し、従来の事故発生パターンではない状況が増えています。
② 長時間労働・ストレス圧の蓄積
単純なケガだけでなく、心身に蓄積する負荷が原因となるケースが増加しています。
③ ハラスメント・職場関係の影響
パワハラやサービス残業、役割負荷の増大といった人間関係要因が 精神的な労災要因としてクローズアップされています。
これらの傾向は、企業の安全衛生管理だけではなく 職場の心の健康の管理が今後ますます重要になることを示しています。
■ よくある誤解と正しい理解
労災について誤解されやすい点を整理すると、次のようなものがあります:
❌ 「労災は肉体的なケガだけだ」
→ 実は 精神障害や長時間労働が原因の疾病も対象です。
❌ 「会社が協力しないと申請できない」
→ 会社からの協力がなくても、本人が直接申請や相談をすることも可能です。
整理しておくべきポイントは、「いつ・どこで・どんな業務で起きたか」です。
❌ 「労災申請=認定される」
→ 申請と認定(支給決定)は別のプロセスです。整理と証拠提出が認定につながります。
■ 申請前に整理しておきたいこと
労災申請を検討する際、以下のような整理を行うことが大切です:
🔸 発生日時・場所
🔸 実際の業務内容
🔸 業務と負荷の関係性
🔸 体調・症状の経過
🔸 相談窓口への記録
これらの情報整理は、単に申請書類を作るだけでなく、事実の整理と適切な対応方針の決定にも役立ちます。
■ 社労士に相談するメリット
社労士に相談すると次のようなメリットがあります:
🔸 事実整理のサポート
🔸 必要書類の準備支援
🔸 申請前の判断整理
🔸 労基署対応の考え方整理
社会保険労務士事務所CareHRでは、企業側・従業員側どちらの立場でも適切に対応できる視点でご相談を承っています。お気軽にご相談ください。
■ まとめ:労災は変わってきている
労災のトレンドは、単にケガが多いというだけではなく、精神面・ストレス負荷・職場環境の変化を背景にした申請が増えてきています。
統計を押さえつつ、事実整理と適切な対応を行うことが、労災対応において何より重要です。
もし「うちのケースは労災になるのだろうか」と悩んでいる場合は、まずは整理してみることをおすすめします。ひとりで抱えずに相談することが、最初の一歩です。お気軽にご相談ください。

