4月に新入社員を迎え組織に新しい風が入る一方で、6月や7月にはボーナスを受け取ったタイミングで退職される方がいらっしゃる——そんな人の動きを感じている企業様も多いのではないでしょうか。採用と離職が重なるこの時期は、組織の状態が表れやすいタイミングでもあります。
本記事では、離職リスクの見方とボーナス後に退職が増える理由、そして企業ができる対策について、社労士の視点から整理してお伝えいたします。
■ 離職リスクの見方、兆候で判断することが重要
「突然辞められてしまった」と感じるケースは少なくありません。しかし実際には、 離職は突然ではなく小さな兆候の積み重ねで起きています。まずは、離職リスクの見方を整理していきます。
■ 離職リスクの見方① 行動の変化
最初に現れるのが日常の行動の変化です。
- 遅刻や欠勤が増える
- 仕事のスピードや質が落ちる
- 発言や提案が減る
- 報連相が少なくなる
ポイントは、これまでとの違いを見ることです。
■ 離職リスクの見方② 感情の変化
次に見えにくいが重要なのが感情の変化です。
- 表情が暗くなる
- 周囲との関わりが減る
- 仕事への関心が薄れる
特に注意したいのは不満を言わなくなったとき、これはすでに気持ちが離れているサインの可能性があります。
■ 離職リスクの見方③ 環境・関係性の問題
離職の多くは個人ではなく環境に起因します。
- 上司との関係
- 業務量や役割の変化
- 評価や給与への納得感
納得感がない状態は、離職リスクを高めます。
■ 見落とされがちな原因、キャリアのズレ
さらに重要なのがキャリアの視点です。
- 将来のイメージが持てない
- 成長実感がない
- 役割に意味を感じられない
こうしたズレは表に出にくく、気づいたときには退職の意思が固まっているケースもあります。
■ ボーナス後に退職する理由とは
実務上よく見られるのがボーナス支給後に離職が増える傾向です。ただしこれはボーナスが原因というよりも区切り切りとして選ばれているに過ぎません。
■ ボーナス後の離職はその前に決まっている
重要なのは、辞めるタイミングはボーナス後でも理由はその前に生まれているという点です。
特に影響が大きいのが 目標面談・評価面談です。
- 思っていたより昇給がなかった
- 評価の理由が十分に理解できなかった
- 期待とのズレを感じた
こうした違和感が積み重なり、ボーナスのタイミングで退職につながるケースが見受けられます。ボーナス後に辞める人の多くは、評価の段階で気持ちが離れています。
■ 離職防止のために企業ができる対策
企業として重要なのはボーナス後ではなくその前の関わりです。具体的には、
- 評価面談で「理由」と「期待」を丁寧に伝える
- 日常的に状態を確認する(1on1など)
- 役割や方向性のすり合わせを行う
辞めるかどうかではなく今どんな状態かを見ることが重要です。
■ 離職対策は評価面談の質で決まる
離職リスクに大きく影響するのが評価の納得感と伝え方です。評価制度そのものだけでなく、
- なぜこの評価なのか
- どこを期待されているのか
- 次に何をすればよいのか
これらを丁寧に伝えることが、離職防止につながります。
■ まとめ 離職リスクは事前に見える
離職は突然起きるものではなく小さな違和感の積み重ねの結果です。ボーナス後に辞める人はその前からサインが出ています。
■ 最後に 採用コストを考えると離職対策は重要
人の問題は制度だけでも感情だけでも解決できません。当事務所では社会保険労務士としての労務の視点とキャリアの視点の両面から、人と組織の状態を整える支援を行っております。また離職が発生すると採用・教育・引き継ぎなどのコストが発生し企業にとっての負担は決して小さくありません。採用コストがかかる時代だからこそ、採るだけでなく辞めない視点が重要です。離職リスクの見極めや評価面談にお悩みの企業様は、当事務所にお気軽にご相談ください。

