【2026年】東京都の最低賃金は1,280円へ企業が確認しておきたいポイント

2026年8月5日、東京地方最低賃金審議会から東京都の最低賃金を現在の1,226円から1,280円へ引き上げることが適当との答申が行われました。

引上げ額は54円です。

最低賃金が引き上げられると、時給で働くパート・アルバイトだけでなく、月給制の社員や固定残業代を設定している社員についても確認が必要になる場合があります。

今回は、2026年度の東京都最低賃金の内容と、企業が今から確認しておきたいポイントについて解説します。

※2026年8月14日現在、1,280円は答申段階です。正式な最低賃金額および発効日は今後の公表をご確認ください。

2026年度の東京都最低賃金は1,280円へ

東京都の最低賃金について、2026年度は次のとおり引上げが答申されています。

現在:1,226円
答申額:1,280円
引上げ額:54円

最低賃金は、原則として東京都内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員なども対象です。また、試用期間中や研修期間中であっても、原則として最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。

月給制の社員も最低賃金の確認が必要です

最低賃金の改定というと、時給制のパート・アルバイトだけを確認すればよいと思われがちですが、月給制の社員についても確認が必要です。

月給制の場合は、最低賃金の対象となる賃金を時間額に換算して確認します。

月給額 ÷ 1か月平均所定労働時間

この時間額が最低賃金を下回っていないかを確認します。特に、基本給が比較的低く各種手当が多い場合や、年間休日数が少なく所定労働時間が長い会社では注意が必要です。

手当を含めれば最低賃金を超えるとは限りません

最低賃金を確認する際は、単純に「総支給額」を所定労働時間で割ればよいわけではありません。

最低賃金の計算には含めない賃金があります。

たとえば、

・時間外労働に対する割増賃金
・休日労働に対する割増賃金
・深夜労働に対する割増部分
・精皆勤手当
・通勤手当
・家族手当
・臨時に支払われる賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

などです。手当を含めれば最低賃金を上回っていると考えていたものの、実際に計算すると最低賃金を下回っていた、ということがないよう注意しましょう。

固定残業代を設定している場合も確認を

固定残業代を導入している会社も注意が必要です。

たとえば、月給25万円(基本給20万円+固定残業代5万円)

としている場合25万円全体を使って最低賃金を確認するわけではありません。

固定残業代は時間外労働に対する賃金ですので、最低賃金との比較からは除外して考える必要があります。

また、最低賃金の引上げによって基本給などを変更すると、固定残業代の金額についても再計算が必要になる場合があります。最低賃金改定のタイミングで、固定残業代の設定もあわせて確認しておきましょう。

最低賃金ギリギリの人だけ上げればいい?

もう一つ確認しておきたいのが、社内の賃金バランスです。

たとえば現在、

新人:時給1,230円
経験者:時給1,280円
リーダー:時給1,350円

という設定だったとします。

最低賃金が1,280円になると、新人の時給を1,280円に引き上げる必要が生じ、経験者と同じ時給になってしまいます。最低賃金に合わせて対象者だけの賃金を引き上げていくと、経験や役割による賃金差が小さくなることがあります。

そのため、最低賃金改定時には、最低賃金を下回っていないかだけではなく経験や役割に応じた賃金差が保たれているかという視点でも確認することをおすすめします。

企業が今から確認しておきたい8つのこと

最低賃金の改定に向けて、次の項目を確認しておきましょう。

  1. 時給制の従業員の現在の時給
  2. 月給制社員を時間額に換算した場合の金額
  3. 最低賃金の計算に含めている手当
  4. 固定残業代の計算方法
  5. 最低賃金付近の従業員の賃金バランス
  6. 雇用契約書・労働条件通知書の賃金額
  7. 就業規則・賃金規程の記載
  8. 求人票・求人サイトに掲載している給与額

特に忘れやすいのが、現在募集中の求人情報です。ハローワーク、Indeed、自社採用ページなどに掲載している時給・給与についても確認しておきましょう。ハローワークにおいては、発効日(例年10月初旬)において有効中の求人のうち、改定後の最低賃金額を下回る求人については、発効日の前日に求人票の公開を保留とされるようですのでご留意ください。

最低賃金改定を賃金設計を見直す機会に

最低賃金の上昇が続くなか、企業にとって人件費への影響は決して小さくありません。

一方で、最低賃金への対応だけを毎年繰り返していると、勤続年数や経験、役割による賃金差が徐々に小さくなってしまうことがあります。これからは、最低賃金への対応+社内の賃金バランスという視点で確認していくことも大切です。

最低賃金改定をきっかけに、現在の賃金設定が、採用・定着・人材育成の面から見ても適切かというところまで一度確認してみてはいかがでしょうか。

社会保険労務士事務所CareHRでは、最低賃金への対応をはじめ、給与・手当の設計、固定残業代、就業規則・賃金規程、採用時の労働条件など人事労務に関するご相談をお受けしています。

※本記事は2026年8月14日時点の情報に基づいています。東京都の最低賃金1,280円は東京地方最低賃金審議会の答申額です。正式な最低賃金額・発効日は、東京労働局等の最新情報をご確認ください。


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